今回の新作「DEBRIS JAPAN - Statue ver.」は、日本古来から受け継がれている我々の精神文化を、普段フィギュア原型師として活動している私のスタイルに落とし込んで表現しました。
現在のフィギュアという概念は、プラスチック製で既存のキャラクター表現、大量生産の人形という側面が非常に強いですが、私は精神的なものを表現する媒体としてオリジナルフィギュア作品を作っています。
例えば、昔の仏師(仏像を彫る人)は、主に宗教的な思想のもとに、精神的な部分の存在を「物質」に置き換えるというスタイルでした。当時の素材は木がメインであり、一点物から型をつくった鋳造方法まで、様々な表現方法があります。
しかしそこには共通して宗教的な思想などの精神的な価値があり、古来の人たちは普段から意識することなく「精神世界」を感じていました。
また最近私がリアルに感じる事は、今の世界はフィギュアに関わらず、あらゆる立体物に対して「物質世界」と「精神世界」との相互関係が曖昧になっているという事です。
なぜなら、この現代は万人が共感でき、解りやすく便利な「モノ」に溢れ、それに依存した現代人は、精神的な部分に対して日常的に価値(敬意)を見いだせなくなって来ていると感じるからです。
(※ここで言う精神的なものとは、物質自体のコンセプトという事ではなく、例えば、祈りや祈願、祟りといった習慣など、日本人が古来から持つ精神的な感覚のことです。)
しかし私の作品において、宗教的な要素はさほど意識しておらず、現代の「物質世界」と古来からある「精神の思想」をミックスさせたものを、私自身の解釈と手段で表現したいのだと思います。
僕自身既存のフィギュア概念という枠にとらわれないように意識はしていますが、今日本はキャラクターホビーという文化が急速に進化しており、その中のフィールドで生きてきた私にとっては、違和感の無い表現方法なのだと思います。
スタイル |
オリジナル・アートスタチュー |
キャラ名 |
DEBRIS JAPAN - Statue version |
サイズ(全体) | 1,610 × 440 ×730 (mm) |
サイズ(本体) | 910 × 430 ×430 (mm) |
本体材質 |
石粉粘土(PREMIER) |
アイテム |
・包丁(キャスト樹脂) ・お札(紙) ・フンドシ(布) ・台座(木) ・銛(金属、木、キャスト樹脂) |